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酵素・酵母・麹

2023/05/12

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


『発酵や熟成』の技術がどのように誕生し、進歩したかについては諸説があります。
例えばずっと昔の時代に、煮た大豆をわらに包んで保存していたところ、わらに生息する菌の作用により、偶然に納豆ができたのではないかと言われています。
そのようなきっかけは日本だけでなく世界中であったと考えられ、ワインやヨーグルトも偶然にできたのではないかと考えられています。

納豆が偶然に生まれたのは想像できるのですが、元の煮豆とは随分状態の異なるものを食べてみるという行為に驚きを感じます。粘り気が表れ、臭いも独特なものへと変化しています。
昔の人々も、食材が「腐敗」する現象は目にしていたと考えられます。
それにも関わらず、見た目も臭いも大きく変化した納豆を「腐敗ではなく食べられる」と発見したのは凄いことだと思います。

当時の人々は微生物の存在を知らなかったはずです。
しかしその起きている現象を再現し、長い年月をかけ工夫を重ねることで、少しずつ技術が進歩していったのではないでしょうか。製造工程が複雑である日本酒やしょう油・味噌などを作りだせるようになるまでには、とても長い年月がかかっているのだと思われます。
また冷蔵・冷凍技術がなかった時代に、食材を長期保存するための工夫として、技術が進歩・向上した点も大きいのだと思われます。

伝統的な日本酒の製造には『発酵と熟成』の両方の工程が含まれています。
その製造工程の中には『酵素・酵母・麹』といった言葉がよく出てきます。この三つの言葉は響きや漢字が似ており、また作用や働きにも共通点があります。

【酵素】
・多くの種類が存在し、動物・植物・微生物は生まれつき体内で生成することができる
・たんぱく質でできている
・消化・吸収・代謝など生体内の様々な生理作用に関わっている。例えば、体内の消化酵素により「デンプン→糖」「タンパク質→アミノ酸」へと分解される。また飲酒後には「アルコール→アセトアルデヒド→酢酸」へと無毒化するために酵素が働く

【酵母】
・カビやキノコと同じグループに属する微生物である
・自然界のいたるところに存在している
・パン・ビール・日本酒の発酵工程に用いられる。糖を分解しアルコールと炭酸ガスを排出する
・食品の発酵には、酵母が作り出した酵素を利用している

【麹】
・カビの一種である麹菌を米・小麦・大豆などに繁殖させたものが、米麹・麦麹・豆麹とよばれる
・様々な酵素を生成し「デンプン→糖」「たんぱく質→アミノ酸」への分解を助ける
・しょう油や味噌・日本酒を作るときに用いられる
・日本酒の製造には『麹と酵母』の両方が用いられる

酵母と麹は共に微生物です。『酵母と麹』が『酵素』を作り出しており、様々な化学反応をサポートしています。
酵母は糖を分解しアルコール発酵をおこないます。アルコールが生成されますので、ビール・ワイン・日本酒などほとんどのアルコール飲料の製造に必要となります。
パンの製造にも酵母が用いられます。発酵時にエタノール(アルコール)が生成しますが、加熱によって蒸発します。また同時に発生する炭酸ガスの作用によりパンが膨らみます。
日本酒の原料には米が用いられますが、酵母は米に含まれるデンプンを直接分解することはできません。まずは『麹』がデンプンを糖に分解し、その糖を『酵母』が分解することによってアルコールが生成されます。

『発酵』においても言えることですが『熟成』することによるメリットは、
・保存性が良くなる
・味や香りが良くなる、柔らかく食べやすくなる。肉の熟成は、数十年前のアメリカで始められたようです。アメリカでは赤身肉がよく食べられているのですが、日本の和牛と比べると食感に硬さがあります。その赤身肉を柔らかくするための工夫として、熟成の技術が培われたようです。


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